衣料用防虫剤(1)衣料用防虫剤は3種類
どこのご家庭でもタンスや衣装ケースの中に防虫剤を入れてあると思います。一部の人は、これはどれもナフタリンであると考えているようですが、そうではありません。衣料用防虫剤には、ナフタリンのほかにパラジクロルベンゼン、ショウノウとよばれるものがあるのです。

防虫剤のきき方
ナフタリンにしてもほかの2種類にしても、きき方はだいたい同じです。これらは殺虫効果もありますが、むしろ忌避(きひ)効果が強く、忌避剤といったほうがいいかもしれません。忌避効果というのは、虫の嫌いなガスを出して、虫が近づくのを防ぐことをいいます。ナフタリンなどは、何ヶ月かするとだんだん小さくなって、しまいにはなくなってしまいますが、これは固体がゆっくりとガスになってとんでいくからです。

防虫剤の使い方
防虫剤は、タンスの中にガスが充満して効果が現われますから、タンスを頻繁に開け閉めしたり、開けっ放しにしておいては意味がありませんし、防虫剤のもちも悪くなります。ナフタリン、パラジクロルベンゼン、ショウノウの3種類を比べますと、パラジクロルベンゼンがもっともガスになりやすく、したがって、もちは良くないのですが、ガスになりやすいということは、頻繁に開閉してもすぐガスが充満してくるわけですから、頻繁に開閉するところに向いていることになります。
また、防虫剤のガスは空気より重く、下に沈みますので防虫剤は衣料品の上におきましょう。(最近は上から吊るすものもあるようです。)ただし、直接衣料品にふれるとシミがつくかもしれませんので、セロファンのまま引き出しにおくようにします。
防虫剤は、2種類を一緒に使うと、生地にシミを出すことがありますので必ず1種類だけを使って下さい。
なお、金糸、銀糸などはパラジクロルベンゼンで黒くなることがありますから、こうしたものにはナフタリンかショウノウを使いましょう。

3種類を見分けるには
ナフタリンとパラジクロルベンゼン、ショウノウの見分け方をお教えしましょう。まず60~70℃ぐらいのお湯を用意して下さい。その中に調べたい防虫剤のかけらを落としてみれば準備完了です。水面に浮いて激しく動き回ればショウノウで、ほかの2種類はどちらも沈みますが、よく見ますとパラジクロルベンゼンは溶けて液体になっています。それに対してナフタリンは固体のままですから、これで区別することができます。

防虫剤を食べてしまったら...
乳幼児などが防虫剤を食べてしまったらどうしたらよいでしょうか?パラジクロルベンゼンは比較的安全ですが、ほかの2種類は危険ですので吐かせられれば吐かせてなるべく早く医師のところへ連れていきましょう。水は構いませんが、ミルクなど脂性のものは防虫剤の吸収を促しますから与えないようにします。

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