柏市薬剤師会

一般社団法人

高蛋白食と医薬品の相互作用

 

 日本人の食生活は戦後、確実に良くなっているようです。
 国民栄養調査によると、摂取蛋白質については昭和47年を頂点として、それ以降は高水準のまま横這い状態だと報告されています。
 一般的にはひとり一日、男性で70g、女性で60gの蛋白質を取れば良いとされています。しかしお薬によっては食べた食物によって、吸収を遅らせたり、逆に速めたりすることがあるのです。

高蛋白質の食物と一緒に飲んで影響のある薬剤
飲んでいる薬 高蛋白質の食物と一緒の場合
血圧降下剤 薬の効果を増強する。
気管支拡張剤
抗パーキンソン剤
抗てんかん剤
抗生物質
水虫治療剤
薬の効果を減弱する。

 


 食べ物もお薬も、口から体の中に入れば同じ消化管から吸収されます。そのため食べ物によって消化管での血の流れ、排泄の速度が変わったり、食べ物自体との直接の化学変化などによって薬の効き方が違ってくるのです。
 なかでも高蛋白質の食物(大豆製品など)はいくつかのお薬の吸収に影響を与えることが分かっています。
 

 また、イソニアジドという結核の薬を飲む人がチーズなどチラミン(アミノ酸の一種)というものを多く含む食べ物を食べると、発汗や腹痛、頭痛、血圧上昇などの副作用を起こすこともあります。これはヒスタミンを多く含む食べ物を食べても相互作用を起こします。ただこの場合には血圧は上昇するのではなく反対に低下します。
 チラミンを多く含む食べ物としてはチーズ、ワイン、ビール、そら豆、にしんの酢漬、鳥のレバーがあり、ヒスタミンを多く含む食べ物としてはまぐろ、ぶり、はまち、さば、さんま、いわしなどがあります。
 チラミンとの相互作用は塩酸フェノールプロパノールという鼻炎治療剤でも起こります。かぜのひき始めに鼻炎用のお薬を飲んで、蛋白質も取らなくてはとチーズをたくさん食べるということも考えられなくはありません。すると頭痛や胸苦しさ、血圧上昇が起こったとしても、これを副作用とは気が付かないでしょう。ちょっと心に留めておいてください。

チラミンを多く含む食物と一緒に飲んで影響のあるお薬

飲んでいる薬 チラミンを多く含む食物と一緒の場合
 抗結核剤
 鼻炎治療剤
 発汗、動悸、上腹部痛、頭痛、
 血圧上昇、悪心、嘔吐など。

 

ヒスタミンを多く含む食物と一緒に飲んで影響のあるお薬

飲んでいる薬 ヒスタミンを多く含む食物と一緒の場合
 抗結核剤  顔面紅潮、頭痛、血圧低下など。

高蛋白食と医薬品の相互作用

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