中毒時の対応(3)小型電池の誤食最近の電池はずいぶん小型化されました。そのため電卓、カメラ、時計、おもちゃなどに広く使われるようになっています。しかし、小さくなったため子供が誤って口に入れてしまう事故が見られるようになり、問題となっています。

小型電池の種類(記号は国産品の場合)
ボタン型アルカリ電池
一番普及しています。大きさは直径8~16mm、厚さ2~6mmと飲みごろで、事故もほとんどの場合これが原因です。アルカリマンガン電池(記号LR)、水銀電池(記号MRまたはNR)、酸化銀電池(記号SR)などがあります。
リチウム電池
コイン電池ともいわれます。飲むには少し大きいためか、事故は見られません。(記号BRまたはCR)
空気亜鉛電池
補聴器などに使われます。飲みごろの大きさですが、流通数が少ないためか、事故は見られません。(記号は統一がありませんが、空気穴が2個あるので見分けられます。)

飲んだ電池の影響は
電池が体内のどこかにひっかかって動かず、かつまだ消耗しきっていないときはそこで化学反応(電気分解)が始まります。その結果、強いアルカリの物質(アルカリ電池のアルカリではありません。)ができて組織を痛めます。何時間も一つの所に留まっていると問題になります。
電池がほぼ完全に消耗していれば反応は起こりませんが、電池表面の金属が腐食して、中の薬液(アルカリ)が漏れ出すことが心配になります。(電池の中には水銀化ナトリウム、水銀化カリウムなどの強いアルカリが入っています。)しかし、表面の腐食は遅いので慌てないで様子をみます。とくに腸に入ってしまえばほとんど腐食は進まなくなります。
電池には水銀やマンガン、鉄などの金属が使われていますが、これらによる中毒はあまり心配しなくてよいでしょう。電池

飲んだ電池の取り出し方
1 まず、X線で電池の位置を調べます。移動しているようであれば、普通食べ物と一緒にひとりでに排泄されますのでそのまま様子をみます。
2 胃の中に入っているときは、パンやご飯などの固形物を与え、腸に押し出すようにします。右側を下にして横になると腸に行きやすいようです。
3 消化管の上のほうで引っかかっているときは、年長のお子様ならば内視鏡で取り出せることがあります。
4 胃の中に24時間以上、体内に48時間以上留まるようなときは、外科手術によって取り出すことを考えます。

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