胃潰瘍の薬

H2受容体拮抗薬
胃潰瘍の薬には、攻撃因子を抑えるものと防御因子を高めるものとがあります。
H2受容体拮抗薬は、前者の代表選手です。

胃潰瘍とは
胃は常に胃酸やペプシン(タンパク質分解酵素)などの消化液による攻撃を受けています。ボンヤリしていると食べ物と一緒に消化されてしまいます。しかし、胃は粘液を分泌して胃壁をおおい、消化液が直接触れないようにしています。この防御システムがあるため、健康な胃は胃酸に侵されることはないのです。
精神的なストレスは粘液の分泌を減らします。こうして攻撃と防御のバランスがくずれると、胃壁が傷つき、えぐられて潰瘍ができます。ストレスの原因は、過労、夜更かし、緊張、暴飲暴食、アルコールやタバコ、刺激物のとり過ぎなどさまざまです。これらの繰り返しが潰瘍をつくるのです。

H2受容体拮抗薬とは
H2受容体拮抗薬の登場は、それまでの潰瘍の治療をガラリと変えてしまいました。H2受容体拮抗薬は、胃酸の分泌を強く抑えます。これによって胃の痛みなどの自覚症状は早期になくなります。効果の持続時間も長く、服用回数が少なくてすみます。このお薬によって、潰瘍の手術はほとんどなくなってしまったのですから、まさに画期的な薬といえます。最近ではさらに胃酸の分泌を強力に抑えることのできるPPIというお薬が登場し注目を浴びています。

H2受容体拮抗薬を使うときの注意
1.医師・薬剤師の指示を守り、かってに量を増減したり、飲むのをやめたりしてはいけません。自覚症状がなくなったからといってお薬を中断すると、必ずといってよいほど再発してしまうのです。
2.胃酸の分泌は特に夜間高まりますので、寝る前の服用が効果的です。ストレス
3.潰瘍は、胃酸の分泌を抑えている間に修復されますが、それには長期間服用を要するのです。
4.H2受容体拮抗薬がいくらすばらしいお薬だといっても、これだけで潰瘍は根治しません。防御システムの維持を図らなくてはなりません。そのためには医師のフォローを受けてください。

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