体内での薬の行方(2)お薬が体内でどのように運ばれ、どのように変化し、どのようにして出て行くかを見てみましょう。

どのように運ばれるか
お薬にその力を発揮してもらうためには、目的とする臓器や組織に近付いてもらわなければなりません。そのため血液に入った薬は血漿タンパクというものにくっついて運ばれて行きます。しかし、くっついたままですと、お薬は力を発揮することが出来ません。お薬はこの血漿タンパクから徐々に離れて行ってその力を発揮するのです。そのため、この血漿タンパクの状態に影響が加わると、お薬の効果に影響が出たり、副作用が起きたりします。例えば、あるお薬とこの血漿タンパクとくっつく力がもっと強いお薬を一緒に服用した場合、あるお薬が追い出されてしまいますので、お薬の作用が強く出ることになります。また高齢者や小児でも血漿タンパクの数や状態が違いますので薬の効き目が変わってきます。そのためお薬はただ飲めば効くのではないのです。
多種類のお薬を服用する時は薬剤師にご相談ください。

どのように変化するか
力を発揮したお薬は用済になります。お薬というのは元々身体にとっては異物ですので、ずっと体内にいてもらっては、お薬としての作用ではなく毒として作用するようになります。そのため人の身体はそのお薬を毒の無いものに変えてしまうように働きます。それを代謝といい、主に肝臓がその働きをします。血液に運ばれて肝臓にやってきたお薬は、肝臓にある多くの酵素により、お薬が酸化されたり、還元されたり、加水分解されたりして無害な物へと変わっていきます。そのため肝臓にやってくる血液の流れに影響があったり、この酵素の働きに影響が及ぼされれば、思わぬ作用が出ることもあります。例えば、高齢者の場合ですと肝臓にやってくる血液の量が減る傾向にあります。また、お酒などは酵素に大きな影響を与えますので、お薬の代謝にも影響されることになります。

どのようにして出て行くか体内での薬の行方(2)
肝臓で代謝されたお薬や代謝されなかったお薬は、血液にのって腎臓に運ばれ、腎臓で尿へと排泄されます。そのため腎臓の機能の弱い人や高齢者ですと、なかなか排泄されないため、思わぬ副作用が出たりすることがあります。このように、お薬は人の体内で複雑な変化をして作用しますので、相談のよく出来る薬剤師を「かかりつけ薬剤師」にしてください。

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