柏市薬剤師会

一般社団法人

消毒薬のはなしいま、エイズが世界的に問題になっています。エイズはウィルスによる感染症ですが、確実に治療する方法がまだ確立されていないので、感染しないように注意するしかありません。幸いなことにエイズウィルスは比較的弱いウィルスなので、消毒は難しくありません。しかし、怖いのはエイズばかりではありません。私たちのまわりには、いろいろな細菌やウィルスでいっぱいなのです。ふだんから衛生観念をしっかりと身につけておかなくてはいけません。

消毒剤の常識
1 2種類以上の消毒剤を一緒に使うとよく聞くでしょうか。消毒剤は、1種類だけを使うのが常識です。2種類以上を同時に使用すると効果がなくなったり、有害な反応が現われたりすることがあります。
2 消毒剤は、使用する濃度、方法を間違えないように注意しなければなりません。説明書に、どんな所にはどのくらいの濃度で使ったらよいかが書かれています。そのまま使ってよい場合もあるでしょうし、水で薄めなければならないこともあるでしょう。傷のあるところには使えるものと使えないものがあります。金属でできた食器などには、向かないものもあります。使い方を正しく、もし分かり難いようでしたら薬局や薬店でおたずねください。

消毒剤のいろいろ

 

アクリノール
 市販品は0.1%液であるが、ガーゼなどにしみ込ませた「アクリノールガーゼ」もよく知られている。刺激がなく、浸透力もある。化膿部分の消毒に0.05~0.2%、うがいには0.05~0.1%液を用いる。


エタノール
 消毒用アルコールとして市販されている。濃度は70%。健康皮膚、器具などに用いる。ぬれていると濃度が低くなるので、乾燥させて使用すること。傷、粘膜には刺激が強いので用いない。


過酸化水素
 「オキシフル」、「オキシドール」などの名前で親しまれている。市販品は3%の溶液。傷につけると、酸素を発生して泡立ち、この酸素が消毒力を示す。作用、持続性、浸透性とも弱いが、発泡によって傷の中の異物を洗い出す作用がある。傷の消毒や耳鼻咽喉科、歯科の含嗽、洗浄などに用いられる。泡立たなくなったものは無効である。


逆性石鹸
 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどがある。市販品は10%である。皮膚、器具、物品など広く使用される。手指の消毒には、普通の石けんでよく手を洗ってから、この逆性石けん0.05~0.1%液に30秒以上つけるか、または10%液2,3mlを手につけてよくもみ洗いする。傷には0.01~0.025%液を用いる。


クレゾール
 独特の臭気(昔の病院の臭い)がある。約50%の石けん液として市販されている。クレゾールの消毒作用と石けんの洗浄作用を期待したもの。他の消毒剤が有機物によって効力が低下するのに対し、クレゾール石けん液は効力低下が少ない。皮膚の消毒に2%、傷の消毒には1%にうすめて使用する。排泄作の消毒には5~10%。器具の消毒には3~5%。


次亜塩素酸ナトリウム
 市販品は1~12%で、医療分野のほか食品、水道水、プール水などの消毒にも利用される。独特の臭気(塩素臭)があり、作用は強力である。手や指、皮膚の消毒に0.01~0.05%の濃度で使われる。なお、市販の溶液は強いアルカリ性なので、注意すること。(目に入れたりしないこと。)


マーキュロクロム
 「赤チン」の名前で呼ばれる。市販品は2%の溶液。作用はそれほど強くない。浸透性も弱いが、持続性がある。刺激性が弱く、皮膚、傷、粘膜などの消毒に用いられる。水銀を含んでいるが、心配はない。ヨードチンキと併用してはならない。


ヨードチンキ
 市販品は6%(希ヨードチンキは3%)の溶液で、作用は強く、持続的で浸透力もある。傷、潰瘍や一般皮膚、歯科領域で使われる。濃度は5~10倍に薄めて用いる。希ヨードチンキはそのまま、または2~5倍に薄める。マーキュロクロムと併用してはならない。

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