妊娠と薬といわれて、すぐ思い出されるのはサリドマイド事件です。西ドイツから発売された睡眠薬サリドマイドを妊婦が服用して、約6,000人に及ぶアザラシ症児(手足が異常に短い、一見アザラシに似た奇形児)が生まれたのです。
それまで薬が胎児に奇形をつくるなどということは、考えられていなかったのです。その後、お薬が胎児に及ぼす影響を調べることが義務づけられ、事態はずっとよくなってきました。
妊娠は病気ではありませんが、母体にとってはたいへんな負担となっています。
そのため、お薬の作用が普段と違うことも考えられ、胎児に影響することもありえます。
妊娠初期は、要注意です。
胎児はもともと体の機能が未熟ですから、お薬の影響を受けやすいのです。特に妊娠してから3ヶ月間ぐらいは、体の重要な器官が形づくられるときです。この間に強い影響を受けますと、奇形を生ずることがありますから注意しましょう。この時期は、妊娠していることに気付かないでいることが多いので、妊娠している可能性のある方は気を付けてください。医師・薬剤師などにも、恥ずかしがらずにその旨伝えるようにしましょう。
特に注意するお薬
サルファ剤・・・・・・・・・・・妊娠末期は避ける 男性、女性ホルモン剤・・・・・・妊娠中は避ける 副腎皮質ホルモン剤・・・・・・・慎重に(軟膏は大丈夫です) 精神安定剤、催眠剤、鎮静剤・・・長期大量使用しない 解熱鎮痛剤・・・・・・・・・・・長期大量使用しない 抗ヒスタミン剤・・・・・・・・・避ける 下剤・・・・・・・・・・・・・・妊娠末期は避ける |
基本的に妊娠中はお薬をさけるのが賢明ですが、医師・薬剤師などに相談してから服用ください。 また、最近サプリメントを服用する方も多くみられますが、胎児に影響するものもありますので、薬剤師にお尋ねください。
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