禁煙すると「病気にかかりにくくなる」「顔色がよくなる」「せき、たんが減り呼吸が楽になる」「目覚めがよくなる」「食べ物がおいしくなる」...などと言われる方が多いものです。現在、日本で使用できる禁煙補助薬には薬局で薬剤師の指導によって購入できるニコチンガムと、自費扱いになりますが医療機関で医師の診断によって処方されるニコチンパッチ(貼り薬)の2種類があります。
禁煙補助薬の役目
禁煙後に発生する離脱症状(注1)を軽減させ、ニコチンによる身体的依存とタバコを吸う習慣による心理的依存からの脱出をスムーズにするのが役目です。
注1離脱症状;離脱症状とは「タバコを吸いたい気持ちになる」「イライラして落ち着かない」「頭痛がする」「だるい」「眠い」...等の症状が出ることをいい、一般的に禁煙後3日以内に症状のピークに達します。その後症状は徐々に消失して5~7日位を過ぎると楽になります。症状の軽減には規則正しい生活が必要不可欠ですが、「水を飲む」「果物を食べる」「ガムをかむ」「深呼吸をする」「軽い運動をする」「十分な睡眠をとる」...等の行為も有効です。
使用法と注意点
禁煙補助薬を使用する前にまずタバコを完全にやめます。
(a)ニコチンガム
●タバコが吸いたくなったら、ニコチンガムを1回1個なるべくゆっくりと間をおきながら30分間噛みます。途中で口の中がピリピリしたら頬と歯ぐきの間にニコチンガムを置いて噛むのをやめ、ピリピリ感がなくなったら再開します。噛み終わったニコチンガムは飲み込んではいけません。
●1日の使用個数を徐々に減らしていきます。1日の最大使用個数(30個が限度)や使用期間(6ヶ月が限度)は吸っていたタバコの量により個人差があります。
(b)ニコチンパッチ
●1日1回24時間ごとに体の一部(腕、腹、腰、背)にタオルで貼る部分をよく拭いてから貼ります。毎日同じ所に貼るとかぶれることがありますので、貼る場所を変える必要があります。傷のある所、皮膚疾患のある所、ベルトライン、体毛の濃い所などは貼る場所としては適しません。
●最初にニコチンパッチの30を4週間、次に20を2週間、最後に10を2週間使用します。この合計8週間が標準的な使用期間(10週間が限度)になります。
心臓に持病がある方や、妊娠中・授乳中の女性の方は使用することは原則として適しません。またニコチンガムは歯やあごの機能が低下している方は適さないことがあります。必ず禁煙補助薬を使用する前や使用した後「いつもと様子が違うな?」と感じたらすぐに医師・薬剤師へ相談してください。
副作用
吐き気、胸やけ、下痢、めまい、頭痛、動悸、顔のほてり、むくみ、味覚障害などが考えられます。ニコチンガムは口の中や舌の刺激感や炎症が、ニコチンパッチはかゆみや発疹が起きることがあります。
失敗は成功のもと
禁煙に失敗してもあまり気にしないで、失敗の原因を考えてそれを次に生かしましょう。お薬を適正にかつ上手に使用して禁煙にチャレンジしてみませんか。
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